「まわりの子が英検を受け始めた。うちも受けさせたほうがいいの?」
「でも、何級から受ければいいのか分からない」
私は仕事で語学(スペイン語)を教えています。
その立場から正直に言うと——
受けるなら5級から。ただし、まだ受けないほうがいい子もいます。
英検は「早く受けたもん勝ち」ではありません。順番を間違えると、英語そのものを嫌いにさせてしまうこともあります。
この記事では、級のレベルの目安を公式情報で確認したうえで、語学を教える人間として「いつ・何級から受けるのがいいと思うか」をお伝えします。
この記事を読むと、こんなことが分かります。
- 英検5級・4級・3級が、それぞれどのくらいのレベルなのか(公式の目安)
- 小学生が最初に受けるなら何級からがいいか
- 「まだ受けないほうがいい」タイミングの見分け方
- お金をかけずに、家庭でできる英検の勉強法
- 兄弟でも正反対だった、我が家のリアルな話(と、興味ゼロの子が唯一食いついた方法)
そもそも英検の級は、どのくらいのレベル?

まず、ここを知らないと判断できません。
日本英語検定協会が公表している目安は、こうなっています。
| 級 | 公式の目安 | ざっくり言うと |
|---|---|---|
| 5級 | 中学初級程度 | 中学1年生の最初のほう |
| 4級 | 中学中級程度 | 中学2年生くらい |
| 3級 | 中学卒業程度 | 高校入試レベル |
……とはいえ、「中学初級程度」と言われても分かりにくいですよね。
実際に何が出るのかを、級ごとに具体的に見てみます。
5級は「身のまわりのことを、短い文で分かる」レベル
出てくる場面は、家庭・学校・お店・電話。
話題は、家族、友達、趣味、旅行、買い物、スポーツ、食事、天気、道案内、自己紹介。つまり全部、子どもの生活の中にあるものです。
出るのはこんな感じの短い文です。
- I go to school by bus.(わたしはバスで学校に行きます)
- What time is it?(いま何時ですか)
- My father likes soccer.(お父さんはサッカーが好きです)
問題の中身はこうなっています。
- リーディング25分:短い文の穴うめ15問、会話の穴うめ5問、並べかえ5問
- リスニング約20分:会話の受け答えを選ぶ10問、会話の内容を聞き取る5問、イラストを見て内容を選ぶ10問
長い文章を読む問題はありません。
そしてリスニングが25問もあり、しかもイラスト付き。英語を「聞いて分かる」子なら、かなり戦えます。
4級から「長い文章」と「過去のこと」が出てくる
4級になると、はっきり階段が1段上がります。
- 長文の読解が10問追加されます(掲示・案内、Eメール、説明文)
- リーディングが25分 → 35分、リスニングも約30分に長くなります
- 内容も「昨日〜した」「〜より大きい」など、過去形や比較が当たり前に出てきます
つまり、「単語を知っている」だけでは届かなくなるのが4級です。
3級は「英語を書く」「英語で話す」が入る
3級は、一気に別物になります。
- 英作文が2問:メールの返信を英語で書く/質問に自分の意見を英語で書く
- 一次に受かると、二次試験は英語での面接(約5分):30語くらいの英文の音読、その内容についての質問、イラストの説明、自分のことについての受け答え
高校入試レベルと言われるのは、このためです。
小学生でも合格する子はいますが、「英語で自分の考えを言う」段階なので、まったく別の準備が要ります。
そして、もうひとつ大事なこと。
- 5級・4級:一次試験は「読む(リーディング)」と「聞く(リスニング)」のみ。面接はありません
- 5級・4級のスピーキングテスト:受けるかどうかは任意。しかも、合否は一次試験だけで決まります(スピーキングの結果は級の合否に影響しません)
- 3級から:一次試験に合格すると、二次試験として面接があります
ここは意外と知られていないポイントです。
5級・4級は「話せなくても受けられる」ので、人見知りのお子さんでもハードルは高くありません。
小学生が最初に受けるなら、何級から?

結論から言うと、5級からで十分です。
「うちの子はもう少しできるかも」と思っても、私は5級からをおすすめします。理由は3つあります。
① 最初の1回は「合格体験」であってほしいから
語学で一番大事なのは、続くことです。
そして続くかどうかを決めるのは、才能ではなく「できた!」という感覚。
最初の受験でいきなり不合格になると、「英語=つらいもの」という記憶が先についてしまいます。
確実に受かるところから始めて、成功体験を積ませる。これが遠回りに見えて一番速いです。
② 4級から先は「文法」の壁があるから
5級は身のまわりの単語や、ごく基本的な文が中心です。
一方、4級以上になると、過去形・比較・受け身といった中学校の文法が本格的に出てきます。
英語の授業をまだ受けていない小学生にとって、ここは急に険しくなるポイント。
5級で「英語のテストってこういうものか」と体で覚えてから進むほうが、断然ラクです。
③ 試験の「形式」に慣れること自体に価値があるから
初めての受験は、内容よりも「知らない会場」「時間を計られる」「マークシート」のほうが子どもにはプレッシャーです。
5級でその流れを一度体験しておくと、次からは中身に集中できます。
迷ったら5級。
「簡単すぎたね」で終わったなら、それは大成功です。
逆に、「まだ受けないほうがいい」サイン
ここは、あまり書かれていないけれど大事なところです。
以下に当てはまるなら、受験は少し待ったほうがいいと私は思います。
- アルファベットの大文字・小文字が、まだあいまい
→ 読む問題が「絵合わせ」になってしまい、力がつきません - 英語に触れているのが、週1回の教室だけ
→ 5級でも単語量がそれなりに必要です。日常的に触れていないと、詰め込みになります - 子ども本人が「受けたくない」と言っている
→ これが一番大きいです。親が受けさせた英検は、受かっても続きません
英検はあくまで「今どのくらいできるかを測るものさし」であって、英語を始める入口ではありません。
入口はもっと手前——英語を「楽しい」と思える時間をつくるところにあります。
まだそこができていないなら、英検よりも先に、英語に触れる習慣をつくるほうが効果的です。その具体的なやり方は、こちらの記事にまとめました。
👉 【語学講師が本気で調べた】子どものオンライン英会話、失敗しない選び方とおすすめ3社
お金をかけずに、家庭でできる英検の勉強法

塾に通わせなくても、5級なら家庭学習で十分に届きます。
語学講師として、この順番でやってくださいというものをお伝えします。
ステップ1:単語を「音」で入れる(最優先)
いきなり単語帳を書き写させるのは、実はいちばん効率の悪いやり方です。
まず音で覚えて、あとから文字と結びつける。これは大人の語学学習でも同じ鉄則です。
- 単語の音声を聞いて、口に出して真似する
- 意味は日本語より絵やイメージで結びつける
- 1日10語より、5語を毎日
ステップ2:リスニングを「毎日の生活音」にする
5級はリスニングの配点が大きく、しかも小学生が一番得点しやすいのがここです。理由は簡単で、文法知識がいらないから。
机に向かわせる必要はありません。朝ごはんの時間に音声を流しておくだけでも変わります。
ステップ3:過去問は「最後」ではなく「最初」に1回
これは多くの人が逆にやっています。
勉強し終わってから過去問、ではなく、まず1回解かせてから勉強を始めてください。
- 何が分からないかが分かる
- 試験の形式が分かる
- 親も「あと何が足りないか」が具体的に見える
英検の公式サイトでは過去問が無料で公開されています。まずはここからで十分です。
ステップ4:直前2週間は「時間を計る」だけ
内容が入っていても、時間切れで落ちる子はとても多いです。
本番と同じ時間で1回通しでやる——これだけで結果が変わります。
親が一緒に楽しむ。でも、最後は本人の興味次第

親自身がそれに興味を持てているかどうかで、子どもの伸び方はかなり変わる——これは私の実感です。
親が興味を持てていないことに、子どもだけが興味を持ってくれるとは限りません。
逆に、親が「これ面白いね」と言っていることには、子どもも自然と寄ってくる。だから単語の音声を流すときは、ぜひ親も一緒に口に出してみてください。発音が完璧である必要はまったくありません。「ママ、これ言えない!」と笑い合えたら、その日は大成功です。
ただ、正直に書きます。
それでも、最後は本人の興味次第です。
我が家は、上の子(女の子)が3歳ごろに自分から英語に興味を持ってくれて、そこから英語教室に2年ほど通いました。
一方、下の子(男の子)は興味ゼロ。同じ家、同じ親、同じ環境でも、こうも違うのかというくらい違います。
だから「親が頑張れば必ず好きになる」とは言いません。
うちの下の子のようなタイプに、英検を先に持ってきても、まず続きません。
ただし、きっかけは「英語の勉強」じゃなくていい
その興味ゼロの下の子が、一度だけ変わった瞬間があります。
シンガポール旅行に行く前に、旅行先で使いそうな単語を練習させたときのことです。
お手本の音声を流して、そのあとを真似して発音させる——それだけ。
これが、びっくりするほどいい発音でした。
教えたわけでも、勉強させたわけでもないのに、耳で聞いたままをそのまま返してくる。小さいうちは耳がいいというのは、本当なんだと思います。
ここに大事なヒントがあると感じています。
- 子どもが動くのは「勉強だから」ではなく、「使う予定があるから」
- 小さいうちは、文字より音(耳と口)のほうが圧倒的に入る
たぶん効いているのは「英語がこわくない」こと

もうひとつ、あとから気づいたことがあります。
我が家は、シンガポール、オーストラリア(ケアンズ)、パラオ、グアムと、英語が使われる場所に家族で行っています。
そのせいか、うちの子たちは英語に対して「恐怖」がありません。
英語が分かるわけではないんです。
ただ、「英語をしゃべる人がいる」「通じなくても何とかなる」というのを、体で知っている。空港でも、お店でも、それが当たり前の風景として目に入っている。
これは勉強では手に入りません。
そして語学を教えていて痛感するのは、上達を止めるのは実力不足ではなく「間違えるのがこわい」という気持ちだということです。大人の生徒さんを見ていても、ここでつまずく人が本当に多い。
海外旅行に行けなくても、代わりになるものはあります。
- 英語の音がある動画や映画を、意味が分からなくても流しておく
- 街で外国の方を見かけたら「今の、英語だったね」と言ってみる
- 「通じなくても平気」という空気を、親が先に見せる
英語を「テストの科目」にする前に、「そこらへんにあるもの」にしておく。
うちの下の子が、勉強はゼロなのに発音だけよかったのは、たぶんこれが理由だと思っています。
まとめ:英検は「ゴール」ではなく「ものさし」
- 最初は5級から。確実に受かるところで成功体験を
- 5級・4級は面接なし。人見知りでも受けられる
- アルファベットがあいまい、本人が乗り気でない——ならまだ待つ
- 勉強は音 → リスニング → 過去問を先に1回 → 時間を計るの順で
- 親も一緒に楽しむ。ただし、最後は本人の興味次第
- 興味がない子ほど、勉強からではなく「旅行」「映画」など使う予定から入る
英検に受かることそのものより、「英語って面白いかも」と思ったまま中学生になれること。
語学を教える仕事をしていて、最後に効いてくるのはそっちだと感じています。
まずは、英語に触れる時間をつくるところから。焦らず、一緒に楽しんでいきましょう。
※級のレベル・試験内容・申込方法は変更される場合があります。受験の前に、必ず英検公式サイトの最新情報をご確認ください。(2026年7月時点)

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