「通訳」と聞くと、どんな人を想像しますか?
どんな話題もすらすら訳せる、
ペラペラな人——
そう思いますよね。わたしもそう思っていました。
自分が通訳アテンド(案内係)として現場に立って、
頭が真っ白になるまでは。
今日は、
東京オリンピックでスペイン語圏の選手団をアテンドしたときの話と、
そこで身についた「使えるスペイン語」の作り方をお話しします。
Sofiaこんにちは、
Sofiaです。今日はわたしの「現場で鍛えられた話」。かっこ悪い場面もそのまま書きます。
相手は、コロンビアの選手団でした
東京オリンピックのとき、
わたしはスペイン語圏の選手団のアテンドを担当しました。
相手は、コロンビアの選手たち。
正直に言うと、そのときのわたしは
会話はなんとなくできるレベルでした。
すべてを完璧に聞き取れるわけでは、
もちろんない。
しかもコロンビアにはコロンビア独特の言い回しがあるし、
競技の話になれば専門用語も飛び交います。
「聞き取れなかったらどうしよう」
引き受けたものの、
不安はずっと胸の中にありました。
でも、現場に立ってわかったんです。
全部はわからなくても、
大事なところを拾って、
その場で考えて、
自分の持っている言葉で伝えれば、
ちゃんと成り立つ。
きれいな通訳じゃなくていい。
「伝わること」がゴールなら、
いま持っている言葉で戦えるんです。
言い間違えたら、選手たちが歌って教えてくれた


そんなある日の、移動の車内でのこと。
会話の中で、
動詞の不規則な変化形を言い間違えてしまいました。
「あ、間違えた」
と思った瞬間、恥ずかしさで固まりました。
案内する立場なのに。
でも次の瞬間、
選手たちが笑いながらこう言ったんです。
「その変化形、
おれたちもこうやって口ずさんで覚えたよねー」
そして車内で、
みんなで歌うように活用形を暗唱してくれました。
教えるはずの立場のわたしが、
ネイティブの選手たちに教わっている。
恥ずかしさは、いつのまにか消えていました。
間違いって、責められるものじゃなくて、
会話が生まれるきっかけにもなるんだ——
そう思えた瞬間でした。
頭が真っ白になった日
もちろん、いい話ばかりではありません。
通訳の仕事中、
言葉がまったく出てこなくなったことがあります。
「ええと……なんだっけ……」
沈黙。
相手の顔が、
不安そうに曇っていくのがわかる。
あの数秒間の長さは、今でも忘れられません。
その夜は、布団の中で
「ああ言えばよかった」
「なんであれが出なかったんだろう」
と、ぐるぐる考えていました。
悔しかった。本当に。
悔しい夜が、「在庫」になる


でも、そこで終わらせませんでした。
出てこなかった言い回しを調べて、
「次に同じ場面が来たら、こう言う」
と決めて、
頭の中で何度もイメトレしたんです。
すると不思議なもので、同じような場面は、
ちゃんとまた来ます。
そして今度は——言える。
この繰り返しで気づきました。
とっさに出てくる言葉は、
才能じゃなくて「準備した言い回しの在庫」なんだと。



土壇場に強い人って、実は準備の人なんだね。
「使えるスペイン語」の作り方・3ステップ
わたしが現場で身につけた方法は、
この3つだけです。
① 場面を先にリストアップする
アテンドの前は、
「移動中」「食事」「トラブル」など、
起こりそうな会話を先に書き出して練習しました。
旅行なら「ホテル」「レストラン」「道を聞く」でOK。
② 出なかった言葉を、その日のうちに調べる
失敗はそのままにすると、ただの悔しさ。
調べて「次はこう言う」と決めた瞬間、
在庫に変わります。
③ 次の場面をイメトレする
声に出して1回言っておくだけで、
本番でするっと出てくる確率が全然違います。
まとめ:失敗した数だけ、話せるようになる
・全部聞き取れなくても、
その場で考えて「持っている言葉」で伝えれば会話は成り立つ
・間違いは、会話が生まれるきっかけにもなる
・とっさの一言は才能じゃなく「準備した在庫」
・悔しい夜こそ、いちばん伸びている夜



完璧じゃなくても、
飛び込めば人は助けてくれます。あの車内の合唱が、
それを教えてくれました。
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